第2回:なぜハードウェアウォレットが安全なのか?
前回の記事では、Ledger Nanoをはじめとするハードウェアウォレットが注目される理由や、その基本的な特徴を紹介しました。今回は一歩踏み込み、なぜハードウェアウォレットが「安全」なのか、その原理とメリットを解説します。
多くの投資家はオンライン上で資産を管理しますが、取引所ウォレットやソフトウェアウォレットは常にインターネットに接続されているため、ハッキングやマルウェア感染のリスクが拭えません。もし取引所が攻撃を受ければ、一度に多くの利用者資産が流出する可能性があり、過去にも実例が報告されています。また、パソコンやスマートフォン自体がウイルスに感染すれば、秘密鍵が盗まれ、不正送金が行われる危険性も否定できません。
これに対して、Ledger Nanoのようなハードウェアウォレットは、秘密鍵をデバイス内部の安全な領域でオフライン管理します。トランザクションの署名(送金実行の最終確認)はウォレット本体で行われ、PCやスマホは単なる表示・操作用の画面に過ぎません。仮にPCがウイルス感染していたとしても、秘密鍵は常に物理デバイス内部に留まり、外部へ漏れることはありません。

→LedgerNanoデバイスのトラブルのことなら訪問出張が可能な三蔵堂ITエンジニアリングにご相談ください←
さらに、Ledger NanoはPINコードやパスフレーズ、24語のリカバリーフレーズ(シードフレーズ)による多層的な防御を提供します。PINコードはデバイスへの不正アクセスを防ぎ、リカバリーフレーズはデバイス紛失・故障時の資産復元を可能にします。パスフレーズ機能を利用すれば、複数の「隠しウォレット」を生成し、さらなるセキュリティ強化も図れます。
つまり、ハードウェアウォレットは「秘密鍵を決してオンラインに晒さない」という強固な原理のもと、安全性を確保しています。これは長期保有者や大口投資家にとって大きな安心材料となるでしょう。
次回以降は、Ledger Nanoシリーズ各モデルの違いや、実際のセットアップ・操作方法、さらなる活用法へと踏み込んでいきます。
目次
- 第1回:Ledger Nanoとは?その基本と特徴
- 第2回:なぜハードウェアウォレットが安全なのか?
- 第3回:Ledger Nano SとLedger Nano Xの違い
- 第4回:セットアップ手順~購入後に最初に行うべきこと
- 第5回:リカバリーフレーズの重要性と管理方法
- 第6回:対応通貨とアプリインストールの方法
- 第7回:送受金(トランザクション)の基本手順
- 第8回:モバイル環境での活用~Ledger Nano Xとスマホ連携
- 第9回:バックアップと復元~万が一に備える方法
- 第10回:フィッシング詐欺や偽Ledgerサイトに注意
- 第11回:ファームウェアアップデートの重要性
- 第12回:複数のLedger Nanoで同一資産を管理する方法
- 第13回:追加セキュリティ機能~パスフレーズの活用
- 第14回:NFTやDeFiへの対応~Ledger Nanoの進化
- 第15回:トラブル事例~PINコード忘れやボタン不調への対処
- 第16回:中古品購入のリスクと注意点
- 第17回:定期的なアカウントチェックと資産監査
- 第18回:サードパーティウォレットとの連携活用
- 第19回:旅行・出張時の保管方法~物理的セキュリティ対策
- 第20回:Ledger Nanoでの長期的資産保護戦略