第3回:Ledger Nano SとLedger Nano Xの違い
前回までに、ハードウェアウォレットとしてのLedger Nanoの安全性や基本的な特徴について解説しました。今回は、Ledgerシリーズの代表的な2モデル、Ledger Nano SとLedger Nano Xの違いに着目します。これらは同じ「秘密鍵オフライン管理」というコンセプトを共有しつつ、機能や使い勝手に明確な差があります。
まず、Ledger Nano Sは手頃な価格とコンパクトさが特徴のエントリーモデルです。USB経由でPCに接続して操作し、主な通貨(BTC、ETH、XRPなど)から多くのアルトコインに対応します。ただし、内部メモリ容量が比較的限られているため、一度に多くのアプリ(通貨管理用アプリ)をインストールするには制約があります。必要な時にアプリを入れ替えることで対応可能ですが、頻繁に多通貨を扱う場合は、手間を感じるかもしれません。
一方、Ledger Nano XはBluetooth対応で、スマートフォンから直接操作が可能です。これにより、外出先やPCが使えない環境でも、専用アプリであるLedger Liveモバイル版を通じて残高確認や送金処理が可能になります。また、Nano Xは内部メモリが拡大され、同時に複数の通貨アプリを常駐させやすくなりました。多くの資産を一元管理したいユーザーや、PC以外のデバイスから柔軟にアクセスしたいユーザーにはNano Xが向いています。

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セキュリティ面では両者に大きな差はありません。秘密鍵をオフライン管理し、PINコードやリカバリーフレーズによるバックアップ策も共通しています。そのため、最終的な選択は、ユーザーが求める利便性や管理する通貨の幅、そして予算に依存します。単純にビットコインとイーサリアムを長期保有する程度ならNano Sで十分かもしれませんが、モバイルでの操作や多数のトークンを同時管理したい場合、Nano Xが魅力的な選択肢となるでしょう。
次回は、具体的なセットアップ手順やLedger Liveの使い方など、さらに実践的なステップを紹介していきます。自分の運用スタイルに合わせてデバイスを選び、資産をより安全に、そして使いやすい形で保護しましょう。
目次
- 第1回:Ledger Nanoとは?その基本と特徴
- 第2回:なぜハードウェアウォレットが安全なのか?
- 第3回:Ledger Nano SとLedger Nano Xの違い
- 第4回:セットアップ手順~購入後に最初に行うべきこと
- 第5回:リカバリーフレーズの重要性と管理方法
- 第6回:対応通貨とアプリインストールの方法
- 第7回:送受金(トランザクション)の基本手順
- 第8回:モバイル環境での活用~Ledger Nano Xとスマホ連携
- 第9回:バックアップと復元~万が一に備える方法
- 第10回:フィッシング詐欺や偽Ledgerサイトに注意
- 第11回:ファームウェアアップデートの重要性
- 第12回:複数のLedger Nanoで同一資産を管理する方法
- 第13回:追加セキュリティ機能~パスフレーズの活用
- 第14回:NFTやDeFiへの対応~Ledger Nanoの進化
- 第15回:トラブル事例~PINコード忘れやボタン不調への対処
- 第16回:中古品購入のリスクと注意点
- 第17回:定期的なアカウントチェックと資産監査
- 第18回:サードパーティウォレットとの連携活用
- 第19回:旅行・出張時の保管方法~物理的セキュリティ対策
- 第20回:Ledger Nanoでの長期的資産保護戦略