第9回バックアップと復元~万が一に備える方法
これまでの記事で、Ledger Nanoの基本操作やモバイル連携など、通常時の利用法を解説してきました。しかし、デバイス紛失や故障といったトラブルは、いつ起こるかわかりません。その際に重要となるのが、リカバリーフレーズを使ったバックアップと復元手順です。
Ledger Nanoは、24語のリカバリーフレーズによって秘密鍵を再構築できる仕組みを備えています。もしデバイスが物理的に破損したり紛失してしまっても、同一のフレーズを用いれば新たなLedger Nano上で元のウォレットを完全に復元可能です。このため、リカバリーフレーズを安全に保管しておくことが、万が一の備えとして不可欠となります。
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復元手順は、初期設定時とほぼ同じ流れです。Ledger Nanoを新品状態で起動し、「既存のウォレットを復元」を選択します。その後、リカバリーフレーズの24語を入力すれば、同一の秘密鍵が再生成され、元のアカウントや残高にアクセスできるようになります。このプロセスにより、デバイス自体ではなくフレーズが資産の本質的な保有根拠であることが再確認できます。
ただし、フレーズが他人に渡れば資産が盗まれる可能性があります。また、フレーズを紛失すれば、完全に資産が復元不可能になる点にも注意が必要です。したがって、バックアップと復元は表裏一体であり、常に最新のセキュリティ意識を持ってフレーズを扱わなければなりません。
次回は、フィッシング詐欺や偽サイトへの対策、詐欺から身を守る方法について解説します。バックアップで万が一に備えつつ、日常のセキュリティ対策を怠らないことが、安全な資産管理の鍵となります。
目次
- 第1回:Ledger Nanoとは?その基本と特徴
- 第2回:なぜハードウェアウォレットが安全なのか?
- 第3回:Ledger Nano SとLedger Nano Xの違い
- 第4回:セットアップ手順~購入後に最初に行うべきこと
- 第5回:リカバリーフレーズの重要性と管理方法
- 第6回:対応通貨とアプリインストールの方法
- 第7回:送受金(トランザクション)の基本手順
- 第8回:モバイル環境での活用~Ledger Nano Xとスマホ連携
- 第9回:バックアップと復元~万が一に備える方法
- 第10回:フィッシング詐欺や偽Ledgerサイトに注意
- 第11回:ファームウェアアップデートの重要性
- 第12回:複数のLedger Nanoで同一資産を管理する方法
- 第13回:追加セキュリティ機能~パスフレーズの活用
- 第14回:NFTやDeFiへの対応~Ledger Nanoの進化
- 第15回:トラブル事例~PINコード忘れやボタン不調への対処
- 第16回:中古品購入のリスクと注意点
- 第17回:定期的なアカウントチェックと資産監査
- 第18回:サードパーティウォレットとの連携活用
- 第19回:旅行・出張時の保管方法~物理的セキュリティ対策
- 第20回:Ledger Nanoでの長期的資産保護戦略