第13回追加セキュリティ機能~パスフレーズの活用
これまでに、Ledger Nanoを使った基本的なセキュリティ対策や、複数デバイスでの管理方法についてご紹介してきました。今回は、さらに一歩進んだセキュリティ強化策として、パスフレーズ機能を取り上げます。この機能を利用することで、24語のリカバリーフレーズにパスフレーズを追加し、複数の「隠しウォレット」を生成することが可能となります。
パスフレーズは、24語のリカバリーフレーズにユーザー任意の文字列を付け加えるイメージです。これによって、同じリカバリーフレーズから異なる秘密鍵を導き出し、表向きのウォレットとパスフレーズ付きの「隠し」ウォレットを同時に保持できます。万が一、リカバリーフレーズが部分的に流出した場合でも、パスフレーズがなければ隠しウォレットの資産にアクセスすることは困難です。
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ただし、この機能は上級者向けです。パスフレーズを忘れてしまえば、そのウォレットの資産は事実上取り戻せなくなります。また、複数のパスフレーズを用いることでウォレットを増やすと、管理難易度も高まります。したがって、パスフレーズは本当に必要な場合にのみ導入し、必ず紙や安全なオフライン手段で記録・保管することが重要です。
この追加セキュリティは、大口資産や特に厳重な保護が必要な通貨を分けて保管したいユーザーに有効な手段となるでしょう。今後は、NFTやDeFiなど新たなブロックチェーントレンドにもLedger Nanoが対応する中で、こうしたカスタマイズ性の高さがより重要になってくると考えられます。
次回は、NFTやDeFiへの対応、さらに広がるLedger Nanoの活用範囲について解説します。パスフレーズ機能を活用して、自分に合ったセキュリティ戦略を練り上げてみてください。
目次
- 第1回:Ledger Nanoとは?その基本と特徴
- 第2回:なぜハードウェアウォレットが安全なのか?
- 第3回:Ledger Nano SとLedger Nano Xの違い
- 第4回:セットアップ手順~購入後に最初に行うべきこと
- 第5回:リカバリーフレーズの重要性と管理方法
- 第6回:対応通貨とアプリインストールの方法
- 第7回:送受金(トランザクション)の基本手順
- 第8回:モバイル環境での活用~Ledger Nano Xとスマホ連携
- 第9回:バックアップと復元~万が一に備える方法
- 第10回:フィッシング詐欺や偽Ledgerサイトに注意
- 第11回:ファームウェアアップデートの重要性
- 第12回:複数のLedger Nanoで同一資産を管理する方法
- 第13回:追加セキュリティ機能~パスフレーズの活用
- 第14回:NFTやDeFiへの対応~Ledger Nanoの進化
- 第15回:トラブル事例~PINコード忘れやボタン不調への対処
- 第16回:中古品購入のリスクと注意点
- 第17回:定期的なアカウントチェックと資産監査
- 第18回:サードパーティウォレットとの連携活用
- 第19回:旅行・出張時の保管方法~物理的セキュリティ対策
- 第20回:Ledger Nanoでの長期的資産保護戦略