この記事の目的:「メッシュWi-Fiだから家中どこでも同じ速度になる」という前提を置かず、親機・子機・バックホール・端末のどこがボトルネックかを切り分けます。
メッシュWi-Fiでも遅い場所は発生する
メッシュWi-Fiは複数のアクセスポイントを協調させて通信範囲を広げる仕組みですが、子機を置けば必ず高速になるわけではありません。子機自身が親機と弱い電波でしか通信できていなければ、その子機へ接続した端末も遅くなります。
最初に構成を図にする
調査前に、回線終端装置、ルーター、メッシュ親機、子機、各階の端末位置を整理します。重要なのは「端末から子機まで」だけでなく「子機から親機まで」の経路です。
インターネット
↓
ONU / 回線終端装置
↓
ルーター・メッシュ親機
↓ ← バックホール
メッシュ子機
↓
PC / スマートフォン / TV
切り分けの順序
1. 親機付近の速度を測る
まず親機の近くで速度を測ります。親機付近でも遅いなら、子機を疑う前に回線、ルーター、WAN側、親機自体を確認します。親機付近は正常で、特定エリアだけ遅い場合にメッシュ経路を重点的に見ます。
2. 子機が本当に正常参加しているか
管理アプリやコントローラーで、子機がオンラインか、どの親機へ接続しているか、バックホールが無線か有線かを確認します。見た目上LEDが点灯していても、期待する親機へ接続していないケースがあります。
3. バックホール品質を見る
無線バックホールでは、壁、床、収納、金属、家電などの影響を受けます。子機を「電波の弱い場所そのもの」に置くより、親機の電波を十分受けられ、かつ目的エリアにも電波を届けられる中間地点へ置く方が有効なことがあります。
4. 有線バックホールが使えるか確認する
宅内LAN配線が利用できる場合、有線バックホールにすると親機―子機間の無線品質に左右されにくくなります。特に階をまたぐ構成や鉄筋・断熱材の影響が大きい建物では改善余地があります。ただし、機種やモードが有線バックホールに対応するかは製品仕様を確認します。
5. 端末がどのAPへ接続しているか確認する
端末が近い子機ではなく遠い親機へ残り続けることもあります。ローミングはAPだけでなく端末側の判断にも影響されます。「子機がある=必ずそこへ接続する」とは限りません。
現地では何を測るか
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| RSSI | 端末が受けている電波強度の目安 |
| 下り・上り速度 | 実利用で得られる通信性能 |
| Ping | 応答遅延。Web会議などで重要 |
| 接続AP | 親機・どの子機へつながっているか |
| バックホール | 有線か無線か、親子間の品質 |
| チャネル | 周辺Wi-Fiとの干渉状況 |
よくある失敗
- 一番電波が弱い場所へ子機を置く
- 速度低下をすべて回線事業者の問題と判断する
- 親機と子機の接続状態を見ずに端末だけ再起動する
- 既存LAN配線があるのに無線バックホールだけで構成する
- 複数ルーターをルーターモードのまま重ね、構成を複雑にする
実案件で重要になる考え方
実際の現場では「1階だけ遅い」「先週から急に遅くなった」といった症状から始まります。そのため、機器交換を先に決めるのではなく、親機側が正常か、子機が機能しているか、バックホールが成立しているか、端末が期待するAPへ接続しているかを順に確認します。原因が子機側の状態にある場合、機器を買い替えずに設定や再接続で回復することもあります。
参考にした公式資料
メッシュ機能の仕様、Ethernet backhaul、ローミング支援機能はメーカー・製品ごとに異なります。実際の設定では、使用しているルーター/メッシュ製品の公式マニュアルを優先してください。