この記事の目的:DHCPが端末へIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーなどを自動配布する仕組みを理解し、「Wi-Fiには接続しているのに通信できない」症状をIP設定から切り分けます。
DHCPが配布する情報
DHCPは単にIPアドレスを配るだけではありません。一般的なクライアントはDHCPからアドレス、サブネット情報、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーなどを受け取ります。無線接続が成立していても、これらが正しく取得できなければインターネットや社内ネットワークへ正常に通信できません。
DORAの流れを理解する
IPv4 DHCPでは、クライアントが利用可能なDHCPサーバーを探すDiscover、サーバーが候補を返すOffer、クライアントが要求するRequest、サーバーが確定するAcknowledgementという流れが基本です。障害時には「APへ接続できたか」と「DHCPで設定を取得できたか」を分けて考えます。
169.254.x.xが示すもの
Windowsで169.254.0.0/16のリンクローカルアドレスが付いている場合、通常利用するDHCP設定を取得できていない可能性を優先して確認します。ただし、このアドレスだけでDHCPサーバー故障と断定せず、VLAN、無線接続、スイッチ経路、DHCP relay、アドレスプール枯渇など経路上の条件を確認します。
Windowsで確認する項目
ipconfig /allIPv4アドレスだけでなく、DHCP Enabled、Default Gateway、DHCP Server、DNS Servers、Lease Obtained / Expiresを確認します。正常端末がある場合は同じネットワークで取得している値と比較すると切り分けやすくなります。
アドレスプール枯渇
端末数が増えた環境では、DHCPの配布範囲が不足して新しい端末だけアドレスを取得できないことがあります。利用人数ではなく、PC、スマートフォン、タブレット、プリンター、会議機器、IoTを含む同時接続端末数とリース時間を確認します。
固定IPとの重複
DHCP配布範囲内へ手動固定IPを設定すると、別端末へ同じアドレスが配布され競合する可能性があります。固定設定が必要な機器は、配布範囲外へ置くかDHCP reservationを利用するなど、アドレス管理方針を統一します。
VLANを使う環境
DHCPサーバーとクライアントが異なるVLANにいる場合、ルーターやL3スイッチのDHCP relay設定が必要になる構成があります。特定VLANだけ取得できない場合は、DHCPサーバーそのものよりVLAN・relay・Firewallの経路を確認します。
現場での確認ポイント
- 正常端末と問題端末のIP・Gateway・DNSを比較する
- DHCPサーバーのアドレスプールとリース状況を確認する
- 手動固定IPが混在していないか確認する
- 特定SSID/VLANだけで発生するか比較する
- 再取得後だけでなく一定時間後も正常か確認する
一次資料
関連技術
IP設定を取得できた後に名前解決だけ失敗する場合はDNS、特定セグメントだけ取得できない場合はVLAN、家庭や小規模事業所で経路が複雑な場合は二重ルーターの記事へ進むと、レイヤーを混同せず確認できます。