この記事の目的:回線事業者のルーターと市販Wi-Fiルーターを併用したときに起こりやすい二重ルーターを、NAT・DHCP・APモードの役割から整理します。
二重ルーターとは
上流機器と下流機器の両方がルーターモードで動作し、それぞれ別のLANを作る構成を一般に二重ルーターと呼びます。典型例は、回線事業者機器のLAN側へ市販Wi-FiルーターのWAN側を接続し、両方でNATとDHCPが動作している状態です。
NATとDHCPは別の役割
NATはアドレス変換、DHCPは端末へのネットワーク設定配布です。二重ルーターを調べる際は「DHCPが二つある」だけで判断せず、端末からインターネットまでに何段のルーティング/NAT境界があるかを構成図で確認します。
二重ルーターでもWeb閲覧はできる
二重NATでも通常のWeb閲覧やクラウド利用が直ちに不可能になるわけではありません。一方、外部からの着信、ポート転送、一部VPN、ゲーム、機器探索、ネットワーク間通信などでは構成が複雑になり、トラブルシューティングも難しくなります。
APモードとは
市販Wi-FiルーターをAP(アクセスポイント)/ブリッジモードへ変更すると、通常はその機器のルーティング/NAT機能を使わず、上流ルーター側のLANへ無線端末を収容する構成になります。製品によって名称やWAN/LANポートの扱いが異なるため、必ず機種の取扱説明書を確認します。
APモードへ変える前に確認すること
- どの機器がインターネット接続とNATを担当しているか
- どの機器がDHCPを提供しているか
- 固定IP・ポート転送・VPN・IPv6設定がどこにあるか
- Mesh機能がAPモードでも利用できる製品か
- 管理画面へ再接続する方法
WAN側アドレスで構成を確認する
下流ルーターのWAN側が192.168.x.x、10.x.x.x、172.16〜31.x.xなどのプライベートアドレスで、上流にもルーターが存在する場合は二段構成の可能性があります。ただしCGNAT等もあるため、その値だけで断定せず物理構成と上流設定を確認します。
IPv6ではIPv4と同じ説明を当てはめない
IPv6 IPoE等では、IPv4のNAT構成だけを見ても通信経路を説明できない場合があります。契約回線、ルーターのIPv6方式、IPv4 over IPv6方式を確認し、「二重ルーター」という言葉だけで障害原因を決めないことが重要です。
現場での確認ポイント
上流からONU/ホームゲートウェイ/ルーター/APを順番に図示し、各機器のWAN/LANアドレス、DHCP範囲、動作モードを記録します。変更は一台ずつ行い、管理画面へ戻れる経路を確保してからAPモード等へ切り替えます。
一次資料
関連技術
端末が正しいIP設定を取得しているかはDHCP、無線品質はRSSI/SNR、ネットワークを論理分離している環境はVLANの記事で確認します。