この記事の目的:Wi-Fi診断でRSSIだけを見て「電波は強いから正常」と判断しないために、RSSI・ノイズ・SNR・実効通信を分けて評価します。
RSSIは受信信号の強さを表す
RSSIは受信している無線信号の強さを把握する指標です。製品やOSではdBm相当の値として表示されることが多く、一般に0に近い負の値ほど強い信号を示します。ただし表示方法や測定位置、端末の無線性能が異なるため、異なる機器の値を無条件に横比較しません。
SNRは信号とノイズの差を見る
SNR(Signal-to-Noise Ratio)は、利用したい信号が周囲のノイズに対してどれだけ優位かを見る指標です。RSSIが比較的強くてもノイズが高ければ通信品質が悪化することがあります。逆にRSSIだけを絶対基準にしてAP追加を決めるのも適切ではありません。
RSSIだけでは速度は決まらない
実効速度はRSSI/SNRのほか、チャネル利用率、同一・隣接チャネル干渉、端末のストリーム数、対応規格、チャネル幅、再送、AP負荷、バックホール、上流回線などの影響を受けます。PHY Rateと実際のTCP/アプリケーションスループットも同じ値ではありません。
測定条件を固定する
改善前後を比較するときは、同じ端末、同じ位置、同じ向き、同じSSID/周波数帯、可能なら同じ接続APで測ります。時間帯が変わると周囲の利用状況も変わるため、単発値より複数回の測定を残します。
接続AP/BSSIDを確認する
Meshや複数AP環境では、目の前のAPではなく離れたAPへ端末が接続し続けていることがあります。RSSI測定時はSSID名だけでなく、可能ならBSSIDや接続APを確認します。ローミング判断は端末実装にも依存するため、AP側だけを原因と決めません。
5GHz・6GHz・2.4GHzを同じ条件で扱わない
周波数帯によって到達性、利用可能チャネル、干渉環境、対応端末が異なります。数値だけで優劣を決めず、利用場所・壁や床・端末能力・必要帯域を含めて設計します。
バックホールを分離して測る
Mesh子機付近のRSSIが良好でも、子機から親機への無線バックホールが弱ければインターネット通信は遅くなります。クライアント→APとAP→上流の二つの区間を分け、有線バックホールが利用できる場合は比較材料にします。
現場で残す値
- 接続AP/BSSIDと周波数帯
- RSSIと取得可能ならノイズ/SNR
- リンク速度/PHY Rate
- Ping・Packet Loss
- 実効下り/上り速度
- 測定場所・時刻・端末
一次資料
関連技術
Mesh環境ではバックホールの記事、IP設定を取得できない場合はDHCP、複数ルーターが存在する場合は二重ルーターの記事と組み合わせて、無線区間と上流区間を分離します。